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売り求むチラシの作り方と例文|売却物件募集で媒介を取る方法

「ポータルサイトの反響だけでは、売却の媒介がなかなか増えない。売り求むチラシを撒いてみたいが、本当に反響があるのか」——売買仲介の営業担当や店長であれば、一度は検討したことがあるはずです。

結論から言うと、売り求むチラシ(売却物件募集チラシ)は、地場の潜在売主に直接届く数少ない手段のひとつであり、いまも多くの会社が媒介獲得の入口として使っています。

ただし、どこにでもある「高価買取します」の一枚では反響につながりにくく、構成・例文・配布設計で結果に差が出ます。

この記事では、売り求むチラシの基本構成とそのまま使える例文、「購入希望者がいます」表記の注意点、配布エリアの選び方までを整理します。

読み終える頃には、自社で1枚目を作るための材料が揃っているはずです。

売り求むチラシとは?売却物件募集で媒介につなげる仕組み

売り求むチラシとは、売り物件(売却の媒介)を集めるために、売主候補となる地域の所有者へ配布するチラシのことです。

「売却物件募集」「あなたの家を売りませんか」といった訴求で、物件を探す買主向けチラシとは目的がまったく異なります。

売り求むチラシは媒介を仕入れるための広告

買主向けの物件チラシが「在庫を売るための広告」だとすれば、売り求むチラシは「在庫(媒介)を仕入れるための広告」です。

ポータルサイトへの掲載は物件がなければ始まりませんから、売り物件の仕入れこそが売買仲介の生命線であり、その入口を自社でコントロールできるのがこの手法の価値です。

反響は「今すぐ」「そのうち」「相場だけ」の3層

反響の主なパターンは、①今すぐ売りたい所有者からの査定依頼、②相続や転居を控えた「そのうち売るかもしれない」層からの相談、③まずは相場だけ知りたいという情報収集の3つです。

②③は今すぐ客ではありませんが、追客リストとして育てれば将来の媒介候補になります。

チラシの設計も「今すぐの査定依頼だけを狙うのか、相談の裾野まで広げるのか」で変わってきます。

売り求むチラシの反響率の目安と1反響の価値

売却物件募集チラシの反響率は低い側に寄る

ポスティング全体の反響率は、ポスティング会社各社の公表値で0.01〜0.3%程度とされています。

売り求むチラシはその中でも低い側に寄りやすく、1万枚配って数件の反響が現実的なラインと考えておくのが安全です。

公的な統計は存在しないため、数字はあくまで目安として扱ってください。

率ではなく媒介1件の価値で判断する

ここで重要なのは、率の低さだけを見て判断しないことです。

売り求むチラシは1反響の価値が極めて大きい広告です。

媒介を1件獲得して成約に至れば、仲介手数料は宅建業法の報酬上限で計算しておおよそ次のようになります。

成約価格手数料上限(税抜)税込(10%)
1,000万円36万円39.6万円
2,000万円66万円72.6万円
3,000万円96万円105.6万円
5,000万円156万円171.6万円
成約価格別・仲介手数料の上限額(片手・速算式)

出典:宅地建物取引業法および国土交通省告示に基づく報酬上限(速算式:売買価格×3%+6万円、400万円超の場合)をもとに作成。

仮に1万枚の配布に印刷・配布費で7〜8万円かかったとしても、そこから媒介1件・成約1件が生まれれば費用は十分回収できる計算です。

だからこそ「1回撒いて反響ゼロだったからやめる」ではなく、後述するとおりエリアを絞って継続する設計が向いています。

反響が出る売り求むチラシの基本構成

反響が出る売り求むチラシには共通の構成があります。

奇抜なデザインよりも、売主が知りたい順番に情報が並んでいるかどうかが結果を分けます。

上から順に、次の要素を配置してください。

①誰に向けたチラシかの明示

「〇〇町にお住まいで、ご自宅や相続した家の売却をお考えの方へ」のように、エリア名と状況で呼びかけます。

地名が入るだけで自分ごと化の度合いが変わります。

②売主にとってのメリット

「無料で価格がわかる」「近所に知られず相談できる」「相談だけでも構わない」など、行動のハードルを下げる約束を置きます。

③地域での営業年数と免許番号という信頼の根拠

地域での営業年数、直近の成約エリア(個人が特定されない範囲)、宅建業免許番号など、事実で書ける裏付けを示します。

ここで誇張をすると後述の表示リスクにつながるため、書けるのは事実だけです。

④「まずは無料査定」への行動喚起

「まずは無料査定」「QRコードから60秒で申込み」など、次の一歩をひとつに絞ります。

電話・QR・LINEなど窓口を並べすぎると逆に動きにくくなるため、主導線は1つ、補助導線は1つまでが目安です。

⑤会社情報と不動産広告の必須表示

商号、免許番号、取引態様(媒介)、所在地・連絡先を記載します。

チラシも宅建業の広告ですから、必須表示を欠かすことはできません。

詳しくは不動産チラシの記載事項一覧で解説しています。

そのまま使える売り求むチラシのキャッチコピー例文

キャッチコピーは「エリア+状況+オファー」の組み合わせで作ると、誇張に頼らずに具体性を出せます。

タイプ別の例文を挙げます。

自社の実態に合わせて地名・数字を差し替えてください。

エリア特化型

「〇〇小学校区で、ご自宅の売却をお考えの方へ。地元で〇年、△△不動産が無料で価格を査定します」。

学区や町名まで絞るほど、その地域の所有者への刺さり方は強くなります。

相続・空き家型

「相続した実家、空き家のままになっていませんか。売る・貸す・持ち続けるの選択肢を、費用の目安と一緒にご説明します」。

相続層は「売る」と決めていない段階が多いため、売却を迫らない言い回しのほうが相談につながりやすい傾向があります。

相続向けの訴求は相続チラシの作り方で詳しく扱っています。

査定オファー型

「〇〇町の直近の成約事例、お渡しできます。ご自宅がいくらで売れるか、机上査定は無料です」。

相場情報そのものをオファーにする型で、情報収集層まで裾野を広げられます。

避けたいのは「どこよりも高く売ります」「必ず売却できます」といった根拠のない断定です。

反響が多少増えたとしても、面談時の期待値が壊れやすく、後述する表示上のリスクも抱えます。

キャッチコピーの引き出しを増やしたい場合は不動産のキャッチコピー例文一覧も参考にしてください。

「購入希望者がいます」表記の注意点——架空の希望者は書かない

売り求むチラシで昔から使われてきた「このエリアで購入を希望されているお客様がいます」という表現は、実在する購入希望者がいない状態で書けば虚偽の表示です。

消費者側のメディアでも「売却チラシの購入希望者はほとんどが架空」と繰り返し指摘されており、受け取る側の目は年々厳しくなっています。

表示規約の対象外でも、書いてよいことにはならない

物件広告と違い、売主向けの募集チラシは不動産の表示に関する公正競争規約が直接カバーしない領域が多いのは事実です。

ただ、規約の対象外であることと、書いてよいことは別問題です。

誇大広告等の禁止(宅建業法32条)や景品表示法が守ろうとしているのは「表示を信じた相手が誤認しないこと」であり、架空の希望者をきっかけに媒介を取る営業は、行政の指導リスク以前に、発覚した時点で売主との信頼関係が壊れます。

媒介契約は数か月続く取引ですから、入口の嘘は後で高くつきます。

購入相談の実態があるなら事実の範囲で書ける

実際に購入相談を受けているエリアであれば、「当店では現在、〇〇エリアの戸建てについて購入のご相談をいただいています」のように、事実の範囲で書く分には問題ありません。

書けるだけの実態があるか——判断基準はこの一点です。

広告表示のルール全体は不動産の広告規制まとめで整理しています。

売り求むチラシの配布戦略——エリア選定と継続の設計

同じチラシでも、どこに・どの頻度で撒くかで結果は大きく変わります。

配布エリアは売却の動機が発生しやすい地域に絞る

エリア選定の基本は「売却の動機が発生しやすい地域」に絞ることです。

具体的には、築20〜40年の戸建てが多い分譲地、相続が動きやすい高齢化の進んだ住宅街、自社の成約実績があり事例を語れるエリアなどが候補になります。

新築分譲地や賃貸中心のエリアに撒いても、売主候補の層自体が薄いため効率は上がりません。

配布は3,000枚を3〜4回・1万枚1回より効く

頻度は単発ではなく、同一エリアへの継続配布を前提に設計してください。

売却の検討は数年単位で進むため、所有者が「売ろうか」と思った瞬間に思い出される会社になれるかが勝負です。

1回で1万枚を広く撒くより、3,000枚のエリアに3〜4回繰り返すほうが、認知の蓄積という点で合理的です。

自社の手配りは売出し看板や空き家を拾える

配布手段はポスティング業者への委託と自社配布(手配り)の2択です。

営業担当が自分の担当エリアを歩いて配る方法は、コストがかからないうえに街の変化(空き家・売出し看板・解体現場)を拾えるという副産物があります。

配布計画の立て方は不動産チラシのポスティング戦略で詳しく解説しています。

売り求むチラシのよくある質問

Q. 売り求むチラシの反響率はどのくらいですか?

公的な統計はありませんが、ポスティング全体の目安が0.01〜0.3%程度とされる中で、売り求むチラシは低い側に寄りやすい広告です。

1万枚で数件の反響を前提に、1反響あたりの価値(媒介・成約単価)で費用対効果を判断することをおすすめします。

Q. 「購入希望者がいます」と書いてもよいですか?

実在する購入相談がある場合に、事実の範囲で書く分には問題ありません。

架空の希望者を書くことは虚偽表示にあたり、発覚すれば売主との信頼関係も失います。

書けるだけの実態があるかで判断してください。

Q. チラシに載せなければいけない項目はありますか?

商号、宅建業免許番号、取引態様、所在地・連絡先は欠かせません。

売り求むチラシも宅建業の業務に関する広告である以上、必須表示を省略しないのが原則です。

詳細は記載事項の解説記事を参照してください。

Q. どのエリアに配布するのが効果的ですか?

築20〜40年の戸建てが多い分譲地や、相続が動きやすい住宅街など、売却の動機が発生しやすいエリアが基本です。

自社の成約実績があるエリアなら、事例を根拠として書けるため反響の質も上がります。

Q. 1回配って反響がなければやめるべきですか?

売却検討は数年単位で進むため、1回の結果で判断するのは早計です。

エリアを絞って複数回接触する設計に切り替えたうえで、反響率と1反響の価値を見て継続可否を判断することをおすすめします。

売り求むチラシで媒介を増やすために——最初の一歩

売り求むチラシは、反響率こそ低いものの、媒介1件あたりの価値(成約価格3,000万円なら手数料上限で税込105.6万円)を考えれば十分に成立する仕入れ手段です。

成否を分けるのは、①エリア名で呼びかける構成、②事実だけをオファーにするコピー、③狭いエリアへの継続配布の3点でした。

まずは自社の成約実績があるエリアを1つ選び、3,000部程度の小さな配布から始めてみてください。

紙面の構成に迷ったら不動産売却チラシのテンプレートを、反響の数字の見方は不動産チラシの反響率をあわせて参考にしていただければ、設計から検証まで一通りカバーできます。

出典・参考資料

  • 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)——誇大広告等の禁止(第32条)、報酬(第46条)
  • 国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(告示)
  • 公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会「不当表示の禁止」
  • ポスティング反響率の目安:株式会社ウィット・株式会社ジャパンポスト等ポスティング会社各社の公表値(民間調査)
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